目次
●外国人介護人材を受け入れる背景
1)介護人材の不足状況
2)介護の有効求人倍率
3)派遣会社の囲い込みが不足に拍車
●外国介護人材受入れ4ルート
1)EPA
2)在留資格「介護」
3)技能実習
4)特定技能
●「技能実習」について
1)制度の改正
2)実習の流れ
3)技能実習(介護)の留意点
4)技能実習(介護)メリット・デメリット
●「特定技能」について
1)制度の概要
2)特定技能(介護)メリット・デメリット
●技能実習と特定技能の対比
1)技能実習と特定技能 制度の対比
2)技能実習 費用の目安
3)特定技能 費用の目安
●外国人介護人材を受け入れる背景
図表1
図表1をご覧ください。令和元年版高齢社会白書のグラフですが、数字をよくかみしめるべきです。総人口は2008年の1億2千808万人をピークに、2065年(令和47年)には、8,808万人と、4千万人も減少します。3分の1の人口が消失します。人間に例えて、からだの3分の1がなくなったらどうなるでしょう。そして減少するのは殆どが労働力人口(15~64歳)です。平成30年(2018年)に75百万人だった労働力人口は、45百万人と、4割=3千万人が消失します。労働力人口の減少は、3分の1どころか40%も減少します。たとえば11対11のサッカーの試合で、4割4人が退場したら、ふつうは勝負になりません。
1)介護人材の不足状況
さて、図表2は経済産業省が平成27年(2015年)に試算した、介護職員の需給ギャップのデータです。2035年には68万人が不足する、という試算です。今から15年後に68万人ですから、年間4万人以上の純増が必要です。厚労省など、年間6万人の純増が必要とまで言っています。(介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針)
図表2
経済産業省
「将来の介護需要に即した介護サービス提供に関する研究会報告書」(平成27年度)
この時点での経産省の提言では、外国人には一言も触れられていません。ITや機器の導入で50万人以上の需要を圧縮するのだと言うことですが、焼け石に水との感がぬぐえないものでした。介護人材の有効求人倍率はすでに異常なレベルに達しつつあったのですから。
2)介護の有効求人倍率
厚労省の職業安定業務統計によれば、現在の我が国の全産業平均での有効求人倍率は、約1.4倍です。これに対し、介護分野の有効求人倍率は、全国平均で約4.3倍。東京ではなんと7.7倍、埼玉・千葉・神奈川で5倍、茨城では5.5倍と、建設業界と並んでもはや異常ともいえる状態です。(2019年8月現在)
全職種で最も求人の人数の多いのは介護サービスです。全求人数の8%を占めるそうです。その次に求人数が多いのは一般事務ですが、求人倍率は介護の10分の1、つまり0.4倍。言い換えれば、一般事務は介護の10倍人気がある職種というわけです。(2020年2月ハローワーク情報サイトより)
図表3
図表3は、厚労省が調査した、介護職員処遇改善加算を取っている事業所の非常勤職員の平均時給額です。事務の時給が950円で、介護が1,110円です。安くても事務の方がいい、という人が多いということです。経済原理から言えば、求人倍率が10倍違うなら、賃金格差がもっとなければ説明がつきません。
3)派遣会社の囲い込みが不足に拍車
ここまで人材不足になった要因のひとつは、派遣会社による介護職員の囲い込みにあります。特養ホームなどの経営収支からみて、非常勤の介護職員さんに払える時給は1,200~1,300円程度(全国平均1,100円、首都圏1,200円、都内1,300円)です。派遣会社はその足元をみて、1,400~1,500円で採用し、施設に2,000~2,200円で派遣するという仕組みになっています。派遣はその上に消費税が10%かかるので、さらに経営を圧迫しています。
現場には、キャリアアップよりも、定形業務を続ける事を希望する方も多くいます。そんな方々にとって、契約で決められた業務以外やらされることのない派遣の仕事は、サービス残業やら周囲への気配りが多い直雇用職員よりも、ずっと居心地がいいでしょう。まして給料が高いとくれば、派遣がいいに決まっています。
では、人材を派遣から取り戻すために、時給を上げるとどうなるか。仮に時給を1割アップするとどうなるでしょう。
1,200円×1.1=1,320円
1,300円×1.1=1,430円
これなら少しは面接に来る人がいるでしょうね。でも、非常勤の時給を上げて、常勤の給料を上げないわけにはいきません。ですので、全体の給料を1割あげなければなりません。
ここで、ホームの経営収支の話になります。ご承知の通り、特養ホームの総収入に占める、人件費の割合は65%くらい、人件費以外の経費も含めた総経費は約98%で、利益は2%くらいしかありません。給料を1割上げると、人件費率は、65%の1割で、6.5%(ポイント)増えます。
利益が2%(ポイント)しかないのに、どうやって6.5%を払えるでしょうか。
●仕事を切り分けて処遇改善を図る
ではどうするのか。
ポイントはさきほど少し触れた賃金格差です。人によって格差をつけるのではなく、仕事によって格差をつけるということです。図表4をご覧ください。
図表4
定形業務(※1)=1,200円×170時間
夜勤専門(※2)=1,400円×14時間×10日/月+夜勤手当6,000円×10回
図表4は常勤換算で10名の介護職員グループの給料の内訳です。常勤換算10名で、20床のフロアを担当すると仮定します。早番・日勤・遅番・夜勤をローテーションするのではなく、
業務を切り分けて夜勤専門職を設けます。夜勤を月10回勤務する方が3人いれば、毎日1人の夜勤者を確保できます。
つぎに、これまで何でも屋だった一般職員の方の業務から、
定形業務を切り出し、それを例えばシニアや、助っ人外国人にお願いする。
日勤に専従できる人数が7名いるので、週休2日として、日勤帯に毎日5名は配置可能です。それまで年収360万円の一般職だった方は、2割のベースアップで年収432万円となり、ようやく全産業平均並みとなります。
ではいよいよ外国人介護人材の受け入れに関するおはなしです。
●外国介護人材受入れ4ルート
1)EPA
まず一つ目は介護就労に関連するわが国最初の入国ルート「EPA」。「特定活動」という在留資格に分類されます。ほかのどの在留資格にも入らない外国人の活動について、個別に内容を審査して許可を出すというものです。
EPAは正式には経済連携協定といい、ヒト・モノ・サービスの移動やビジネス環境の整備を通じて、国際関係強化を図ることが目的の制度です。インドネシア・フィリピン・ベトナムとの間で、母国の看護師資格者等を対象に、日本の看護師資格や介護福祉士資格を取って、帰国させることを目的とした協定が結ばれています。
2008年から始まった制度ですが、労働市場への影響を避けるために、受入上限人数が定められており、公的制度であるため民間では人材マッチングに関与できません。確実に採用できる保証もなく、使い勝手は良くありません。
「EPA」について詳しくは後段の解説をご覧ください。
2)在留資格「介護」
二つ目は、2017年の9月に、正式な在留資格となった「介護」です。永続的に日本で仕事ができ、家族の帯同も可能です。これには二つのパターンがあります
①「EPA」・「留学」からのルート
知識や技術の習得のための在留資格で日本にいる外国人が、介護福祉士の国家試験を受けて、または介護福祉士養成施設を卒業して、介護福祉士の資格を取得することで、在留資格「介護」が取得できます。「留学」からのルルートについては後段の解説をご覧ください。
②「技能実習」・「特定技能」からのルート
在留期間に上限のある介護就労の在留資格で日本にいる外国人が、3年以上の実務経験+実務者研修で介護福祉士国家試験を受験するもの。
3)技能実習
在留資格「介護」は2107年9月に創設されましたが、その2カ月後の2017年11月に、技能実習制度の大きな改正がありました。技能実習制度は、元々は研修制度と呼ばれ、そのルーツは1960年代にもさかのぼります。開発途上国への技術移転が制度の目的ですが、長い間に外国人を安価な労働力として酷使する悪慣習がはびこりました。それが国内外で批判を浴び、2017年11月に、やっと「技能実習法」という新法が整備され、制度の適正運用体制が確立されました。
「介護」がはじめて技能実習の対象に加えられたのは、この技能実習法の成立にあわせてのことでした。
図表5にある通り、技能実習生は、全国の外国人の中で、永住許可を持つ人の次に多い36万人となっています。上記のとおり、介護が技能実習の対象になったのは2017年11月ですから、介護の技能実習生は、2019年3月現在ではまだ1823人です。「技能実習(介護)」について詳しくは後段の解説をご覧ください。
4)特定技能
在留資格「介護」についで技能実習「介護」と制度の改正が続きました。これらの制度は、技能を持った外国人を直接入国させて人手不足を解消させるというところまでは、建前上踏み込めないものでした。そこで、2109年の4月に在留資格「特定技能」が創設されました。基礎的な日本語を理解し一定の技能を持った外国人を試験選抜し、人手不足の深刻な分野に受け入れる為の制度です。試験に合格した外国人に加え、技能実習やEPAを終了した人、あるいは介護福祉士養成施設を卒業した人にも許可される在留資格です。
鳴り物入りで始まったわりに、各国の書類手続きの準備が進まず、特定技能外国人の数はまだわずかです。2019年12月の時点で全体で1621人、うち介護は19人、いずれもEPA修了からの移行組です。
「特定技能(介護)」について詳しくは後段の解説をご覧ください。
図表5 2019年6月 在留資格別外国人 人数
●「EPA」について
インドネシア・フィリピン・ベトナムへの国際協力の一環として、それぞれ2008年・2009年・2014年より、母国の看護師資格者等に、日本の看護師・介護福祉士資格を取得せるため、国策として看護3年・介護4年の就労研修を行っています。
- N4:基本的な日本語を理解できるレベル
- N3:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できるN4の1ランク上位レベル
EPAのメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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●「留学」⇒在留資格「介護」について
留学生は資格外活動の許可を申請すれば、週28時間・夏休みなどは週40時間の就労が認められています。図表6は全国の留学生の出身国ランキングです。全体で約30万人、1位の中国が11万人で、ベトナム・ネパールと続きます。
図表6 外国人留学生の出身国
図表7はそのうち日本語学校の留学生の出身国ランキングです。全体で9万人、ここでは1位がベトナムで3万人、ほぼ同数で2位が中国、3位ネパールと続きます。
図表7日本語学校留学生の出身国
2010年以降特徴的なのは、2010年当時の外国人留学生は約14万人で、1位の中国が9万人、2位の韓国が2万人、3位以下は各国とも数千人だったところ、以後ベトナムとネパールが急増してきたということです。
契機のひとつは2008年に政府が定めた「留学生30万人計画」です。留学ビザの発給が緩和され、日本語学校がその受け皿となりました。ベトナムやネパールはもともと親日の国ですが、就職難という問題を抱えていました。そこに留学ビザが緩和されたことで、留学斡旋業者が乱立し、「日本語ができなくても学びながら働けば、借金した学費や渡航費を返済して、仕送りもできる。就労ビザを取ればさらにもうかり、帰国後も高給の日系企業に入れる」ということで大きなブームとなりました。しかし、悪質なブローカーにそそのかされて多額の借金をする学生もあらわれ、その後の失踪や不法就労の増加につながりました。
このような背景から、「出稼ぎ目的」とみなされる日本語学校への留学ビザ発給は、2019年の特定技能の創設とほぼ機を同じくして、大幅に審査が厳格化されることとなりました。
本来、留学ビザは「母国から仕送りが見込め、アルバイトなしで留学生活を送れる外国人」に限って発給されるため、借金をしてブローカーに手数料などを払った留学生は、親の年収や預金残高などをでっち上げていることがあります。入管ではこうした偽造書類の審査を厳格化しているというわけです。
このような背景から、今後は就労目的の外国人留学生が減少するのは確実とみられます。
図表8は、介護福祉士養成施設の入学者数の推移で、そのうち外国人留学生の出身国別の人数推移を一覧にしています。ベトナムを筆頭に急速に増えつつありますが、介護福祉士養成施設の外国人留学生の8割は、日本語学校からの入学であることは、今後の懸念材料となっています。
- ちなみに外国から直接介護福祉士養成施設に入学するには、日本語能力試験のN2(日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解できる)が必要とされていますが、日本語学校経由の場合はN4(基本的な日本語を理解できる)程度でも入学が認められています。
図表8 介護福祉士養成施設 入学者数推移
図表9は留学生が日本語学校に入学し、介護福祉士養成施設を卒業するまでの4年間の収支を試算しています。全国の都道府県で、養成施設修了のための奨学金が受けられますが、学生がその返済猶予を受けるためには、その県内の施設に5年間勤務する必要があり、また保証人も必要です。手持ち資金のない外国人留学生を、卒業まで支援するには、表に記載したように300万円程度の奨学金を提供する必要があります。
図表9 日本語学校・介護福祉士養成施設の4年間の留学生収支(単位:千円)
- 支出額は日本学生支援機構平成29年度 私費外国人留学生生活実態調査より推計
●「技能実習」について
1)制度の改正
わが国の高度成長期に、海外子会社の社員を日本に呼んで行う研修が、現地の発展に役立ったことから、国際協力の一環として在留資格「研修」が生まれ、1993年の技能実習制度創設につながりました。このときの在留期間は2年でした。
研修の実技部分は労働契約を適用することとされていましたが、建前が「研修」なので、賃金や時間外労働に関するトラブルが多発しました。さらに悪質ブローカーや、有名無実の監理団体の存在なども問題となりました。一方、使用者側からは対象職種と人数の拡大や、実習期間の延長を要望する声が高まっていました。
これらの背景から、2017年11月に技能実習法が施行され、悪質ブローカーの排除と実習生保護の徹底をはかりながら、使用者サイドの要望にも応えていく形となりました。
新制度になって整備されたのは、まずは認可法人として外国人技能実習機構が創設されたことです。法務省と厚労省が共管する役所です。この役所では、監理団体を審査して許可を出し受入企業に受け入れ体制や労働契約の内容について届け出を求め、技能実習の計画書を作らせて認定を出したりします。
また、受入企業の要望にこたえる形で、実習期間を最大5年に延長しました。受入人数も年間の受入上限を、常勤職員数の5%から10%に拡大。優良な団体については2倍の20%が上限となりました。つまり、優良な団体が5年連続で上限人数を受け入れた場合、5年目には、各学年20%×(1・2・3・4・5年生)=100%で、常勤職員と同数の実習生の受入が可能になったということです。
図表10 常勤職員10名の優良企業の場合の、最大実習生受け入れ人数
2)実習の流れ
実習生の受け入れは、民間企業同士が勝手に行うことはできません。まず、日本国政府と送出し国政府の合意があり、それぞれに、政府公認の監理団体と送出し機関が置かれます。監理団体は、私たちのような組合や商工会など、非営利の組織でなければなりません。監理団体は、受け入れ企業から求人を取りまとめて、送出し機関に求人の申込をしたのち、受入企業を含めた関係者でマッチングが行われます。
図表11
続いて図表12をご覧ください。左端が入国、右端が5年後の帰国です。この図は、公益財団法人 国際人材協力機構ホームページの図ですが、事前準備に約5カ月と記載されています。技能実習機構は、実習生の入国前に、労働契約の内容や実習計画の妥当性を審査します。書類の作成に1ヶ月と、審査に4ヶ月で約5カ月ということです。
図表12
- 技能実習イ: 大企業など監理団体を通さない 企業単独型
- 技能自習ロ: 監理団体を通じて行う団体監理型(全体の9割以上)
- 技能実習1号=1年目
- 技能実習2号=2年目+3年目
- 技能実習3号=4年目+5年目
介護の場合は、入国前に日本語能力試験N4に合格しなければなりません。(N4:基本的な日本語を理解しているレベル。ふつう約半年で習得します。)入国の書類審査の時点で、このN4合格証が必要なことから、介護の実習生は、入国の1年くらい前から勉強を始めているのが一般的です。
面接は実習生が日本語の勉強を始める頃に行うことが多いですが、中国の実習生などは日本語の習得スピードが早いために、面接の時点で応募者がN4を取得済という場合もあります。この場合は、面接から入国まで半年以内ということになります。
実習生には入国後すぐに、監理団体による2か月間の入国後講習があります。日本語と介護に関する講習を、宿泊機能のある専用施設で受講します。入国後講習の半分以上を、入国前に母国で実施する場合は、入国後講習が1ヶ月に短縮されます。多くは母国で入国前講習を実施して、入国後の講習を短縮することが一般的です。
入国後講習終了と同時に実習開始です。この時点で雇用契約が発効します。
1号実習から2号実習に移行するには、技能評価試験のほかに、介護の場合は日本語N3に合格しなければなりません。特例として、当分の間は、2号移行前にN3に合格できなくても、2号実習中に、N3のための日本語学習に努めた場合は、2号修了証が受けられます。
ただし、N3に合格できずに2号実習を修了した場合、後で解説する「特定技能1号」への移行はできますが、3号実習には、N3合格まで移行できません。また、3号実習は、優良な監理団体かつ優良な受入企業でなければ実施できません。実習生も、3号実習前に、技能評価試験があります。
3年目と4年目の間に、1ヶ月以上の一時帰国が義務になっています。実習生と本国との関係性や家族との絆に配慮した制度です。
技能実習は海外への技術移転を目的とした実習なので、転職という概念がありません。すくなくとも2号実習が終わるまでの3年間は、同じ会社で実習を行うことになりますが、3号に移るときに、実習生に希望があれば実習先の変更が可能です。
実習生は毎日毎日同じ作業を繰り返すのではありません。図12の右肩上がりの矢印のように、時間とともに技能の向上が担保されている仕組みであることが、技能実習の最大の特徴です。
3)技能実習(介護)の留意点
ここでいくつかの留意点に触れます。
① 前職要件
技能実習では実習に関係する仕事に従事した経験が必要です。介護の職歴がない場合、以下による必要があります。
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- 看護課程修了
- 6ヶ月以上または320時間以上の介護教育修了
- 2ヶ月以上かつ320時間以上の介護訓練を受け、うち1ヶ月・160時間が法定要件を満たす日本語入国前講習、残り1ヶ月・160時間が介護訓練
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② 事業所に関する要件
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- 受入事業所は訪問系事業所ではないこと
- 開業3年を経過していること
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③ 待遇に関する要件
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- 日本人と同等賃金であること
- 違約金や保証金を課されていないこと
- 宿舎が確保されていること(寝室4.5㎡/人・家賃や家具等の使用料は実習生負担ですが、敷金や仲介料は受入企業負担です)
- 入国後講習中の食費・手当が給付されること
- 2号実習中のN3に向けた日本語学習は勤務時間に含まれること
- 入出国の渡航費が給付されること
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③ 夜勤に関する要件
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- 1人夜勤は不可
- 2年目以降の実施が望ましいこと
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④ 介護報酬算定上の要件
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- 人員基準への算入は雇用の半年後から
- N2の場合は雇用日から
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4)技能実習(介護)メリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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●「特定技能」について
1)制度の概要
最後に特定技能についてみてまいりましょう。2019年の4月までは、人手不足の分野に、労働力として受入ができる在留資格がありませんでしたが、特定技能の創設で、そこに道が開かれました。特定技能1号は在留期間の上限が5年、上位資格の2号は在留期間の更新に上限がありません。介護分野では、介護福祉士に合格すれば在留資格介護を取得できるので、特定技能2号の設定はありません。
図表13
介護分野の特定技能では、以下の3つの試験に合格した外国人が、入国しつつあります。
-
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- 介護技能評価試験
- 日本語試験国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験N4以上
- 介護日本語評価試験
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特定技能には、試験合格ルートだけでなく、以下の3つの場合も試験免除となります。
-
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- 技能実習2号の3年間を終えた人
- EPAの4年間を修了して介護福祉士国家試験を受験し、合格点の半分以上を得点し0点の科目がなかった人、
- 介護福祉士養成施設を卒業した人
-
図表14では国内外の特定技能資格者が採用に至るルートを図式にしました。特定技能外国人は、労働者として独自に求人に応募することも制度上可能とされていますが、実質的には送出し国政府が何らかの関与をすることが多いとみられます。
図表14
雇用主(制度上は特定技能所属機関と呼びます)に求められる要件は以下のとおりです。
主な要件として、過去2年以内に中長期在留者を受け入れたなどの外国人受入体制があることです。次に、生活情報の提供や相談対応、定期面談など外国人に対する支援計画を立てなければなりません。受け入れ態勢がない場合は、出入国在留管理庁に登録された登録支援機関に、外国人に支援業務の全部を委託すれば、受入体制があるとみなされ、支援計画の立案についても登録支援機関の支援を受けられるとされています。
留意点としては、過去1年以内に会社都合で同職種の離職者を出していないことが挙げられます。この離職には、労働者に落ち度のない期間満了解雇(更新申出拒否)も含まれるので、注意が必要です。
2)特定技能(介護)メリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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●技能実習と特定技能の対比
1)技能実習と特定技能 制度の対比
図表15
2)技能実習 費用の目安
3)特定技能 費用の目安
当組合においても送出し国・紹介機関により大幅な違いがあります。また、受入企業様によっては、月次費用が不要の場合もありますので、当組合までお問合せ下さい。下記は2020年2月の当組合調査による参考データです。